発掘調査概要報告
京丹後市で実施した発掘調査の概要を紹介します
須田平野古墳
令和5年9月30日実施
京丹後市教育委員会と京都府立大学文学部考古学研究室では、令和2年度より京都府立大学地域貢献型特別研究(ACTR)などの採択を得ながら、久美浜町須田区や関係各機関とともに、湯舟坂2号墳(府史跡)とその出土品(国重要文化財)の学術的価値を再評価し、周辺の古墳をはじめとする文化財を地域資源化していく試み(湯舟坂プロジェクト)を推進しております。その一環で、湯舟坂2号墳に先行する大型石室墳である須田平野古墳の墳丘形態や規模などを知ることを目的に発掘調査を実施しました。
調査の結果、墳丘の盛土をはじめ、墳丘裾部や周溝を確認することができました。また、古墳の南東側からは須恵器が多く出土しています。
小学生版「須田平野古墳の発掘調査でわかったこと」
京都府立大学文学部考古学研究室は、湯舟坂プロジェクトの一環で、令和5年9月より京丹後市立高龍小学校で学生による連携プログラムを実施してきました。これは、5年生を対象に、学生の授業を通して地域の文化遺産の魅力について学んでもらう企画です。須田平野古墳の発掘調査中であった9月25日には、5年生を現地に招き、学生が実際に案内をしました。
12月6日には、連携プログラムの締めくくりとなる授業を、学生が高龍小学校で実施しました。授業では、今年度の須田平野古墳の発掘調査成果の話に、5年生は熱心に聞き入っていました。この授業のために学生が作成した解説シートを、ここから見ることができます。
網野銚子山古墳
令和元年9月8日実施
網野銚子山古墳及びその周辺整備のため、今年度は墳丘のくびれ部にあたる箇所の2段のテラス面や上・中・下段斜面について、調査を行いました。その結果、各段の斜面の葺石が多く残っていて、特に基底石が墳丘にそってくびれているようすが確認できました。また2段目テラス面からは、礫敷きと、基底石に沿って屈曲している埴輪列を確認することができました。
平成30年10月21日実施
網野銚子山古墳及びその周辺整備のため、今年度は後円部の2段目テラス面や上・中段斜面、墳頂部について、はじめて調査を行いました。その結果、墳頂部まで良好に葺石が残っていて、墳頂部の葺き終わりの石が確認できました。また、2段のテラス面と墳頂部には埴輪列が確認できました。
平成29年11月25日実施
網野銚子山古墳及びその周辺整備のため、前方部先端部の位置を確定すべく調査を続けてきました。今年度までの調査により、網野銚子山古墳の墳丘長は、198mから201mの可能性がでてきました。
平成28年11月13日実施
網野銚子山古墳及びその周辺整備のため、古墳築造過程や整備に必要な資料を得るための発掘調査を行いました。この調査により、墳丘前方部の裾部の範囲を確認し、復元につながる資料が得られました。
平成27年11月21日実施
網野銚子山古墳の周辺整備に向け、前方部前端部及び、周溝の確認のための発掘調査を行いました。この調査により、墳端がかなり削りこまれていることが確認できました。
平成21年1月実施
国指定史跡網野銚子山古墳の範囲確認と、小銚子古墳との関係確認のため、発掘調査を実施しました。この調査により、網野銚子山古墳の葺石の様子が確認できました。
湧田山1号墳
- 府指定史跡湧田山1号墳の範囲確認のための調査を実施しました。前方部墳丘裾の変化点は確認できませんでしたが、墳丘裾に弥生時代の溝状遺構が確認されました。
森本大谷城跡・森本大谷古墳群
- 森本工業団地造成に関わる遺跡の分布確認・記録保存のための調査をおこないました。調査では明瞭な遺構は確認されませんでしたが、古墳時代の甕(かめ)が出土しています。
現地説明会資料(PDF:2.7MB)
外村遺跡
- 老人ホーム建設に伴う緊急の範囲確認調査を実施しました。地形の改変がされており、明瞭な遺構は確認されませんでした。数点のピットと土器片が確認されています。
松山遺跡
- 府営農業生産法人等育成緊急整備事業に伴い、記録保存のための調査を実施しました。平安時代中期の土坑、鎌倉時代の柱穴・土壙などのほか、古墳時代前期後半~中期前半と推定される竪穴住居跡や奈良時代と思われる柱穴が見つかりました。また、奈良時代のものと推定される須恵器円面硯が出土しています。
現地説明会資料(PDF:417.3KB) - 松山遺跡第1・2次発掘調査報告書(PDF:1.8MB)
- 松山遺跡第6次発掘調査報告書(PDF:3.7MB)
- この記事に関するお問い合わせ先
-
教育委員会事務局 文化財保存活用課
〒629-2501
京都府京丹後市大宮町口大野226番地(大宮庁舎)
電話番号:0772-69-0640 ファックス:0772-68-9061
お問い合わせフォーム
更新日:2023年12月21日