デジタルミュージアムF62水祭祀遺物(浅後谷南遺跡出土)

水祭祀遺物(浅後谷南遺跡出土)

みずさいしいぶつ(あさごたにみなみいせきしゅつど)

丘陵の裾部に位置する浅後谷南遺跡の写真

(写真:京都府遺跡調査概報第93冊より)
財団法人京都府埋蔵文化財調査研究センター提供

水祭祀遺物(浅後谷南遺跡出土)の写真

水祭祀遺物(浅後谷南遺跡出土) 府指定文化財

水祭祀遺物は、京丹後市網野町公庄(ぐじょう)にある浅後谷南遺跡で発見された一連の木器群である。浅後谷南遺跡は、日本海へ注ぐ福田川中流域東岸の、狭小な谷地形が複雑に入り組んでいる、丘陵の裾部に位置する、弥生時代から平安時代まで継続する集落遺跡である。
浅後谷南遺跡で出土した遺物は、水に係る祭祀施設を構成するものであると考えられる。水路の中に数箇所の止水板と木槽(もくそう)・木樋(もくひ)からなる堰状の施設を設け、浄水と呼ばれる澄んだ水を得るもので、この浄水を木槽樋の槽部分に溜め、祭祀に用いたものと推定される。このような水祭祀遺物の出土は、京都府内では唯一の例であり、当時の人々の精神生活の一端を示すものとして注目される。同様の水祭祀に関わると考えられる遺跡は、近畿地方では奈良県纏向遺跡、滋賀県服部遺跡、大阪府神並・西ノ辻遺跡などの例が知られている。いずれも古墳時代に属し、木樋と木槽を備え、堰状施設を設けるなど、浅後谷南遺跡のものと共通する点が多い。しかし、浅後谷南遺跡から出土した木槽樋のように、一材から木槽部と樋部分とを作り出したものは他に例が無く、本例は非常に貴重な遺物ということができる。

(京都府所有)

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更新日:2018年03月27日