船木の通り堂(市指定文化財)

船木の通り堂

ふなきのとおりどう

船木の通り堂の写真

船木の通り堂 京丹後市指定文化財

弥栄町船木区の西端、村の入り口に北面して立っているお堂です。
南面のみ地蔵を祀る上部に板を打ちつけ壁を作っていますが、ほかに壁はなく吹きさらしとなっています。また、西面、東面の北半部には足固めがなく、通り抜けができる造りになっています。
四方の桁や貫、小屋組などは近年の材に取り替えられているものの、ケヤキ材の4本の柱や松材の2本の梁、足固めなどは当初の材と見られ、近世中期にさかのぼる建物と推定されています。
現在は、道路改良により2mほど移動し、道路に面して立っていますが、もとは道路上に門のように立っていました。地元では、通り堂が一の門、村にある大門が二の門、禅勝寺山門が三の門と伝えており、通り堂が門としての役割を担っていたと考えられています。
同種の通り堂としては、福井県大飯郡高浜町関屋や福井県大飯郡おおい町石山の通り堂が移築現存しているほか、京都府南丹市八木町室橋の通り堂は復元建築されています。中央を通り抜けできる点はすべて共通しており、建物の構造や大きさ、街道の分岐点や交差点に立地する点は室橋の通り堂を除き共通しています。
通り堂という建造物は、これまでの研究で、戦国時代に描かれた雪舟の天橋立図に「通堂」が描かれていることから、中世にさかのぼる点が指摘されています。また、西日本の通り堂の集成からは、堂内を通り抜けられる建物、通路を兼ねた堂を通り堂と定義し、門としての機能のほか、領域を結界する施設としても機能したことを指摘する研究もあります。
以上のことから、船木の通り堂は村の入り口に立ち、堂内の通り抜けができる門としての役割を持った建物と評価できます。また、その立地から、村の結界を示すものと評価できます。
村の信仰形態に関わる重要な建造物であり、その形をよくとどめる点が大変貴重です。

(船木区所有)

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更新日:2018年05月01日