久美浜町女布の気張るファーマー(きょうたんご米気張るファーマー通信 Vol.4)

Vol.4 株式会社エチエ農産(久美浜町女布)

 市内屈指の担い手農家として活躍

 平成19年5月、久美浜町女布(にょう)地区で設立された株式会社エチエ農産。そこで代表取締役を務める越江昭公(えちえ あきのり)さん(43)に、米作りに関する話を伺った。

 昭公さんは高校を卒業後、民間会社に勤務していたが、実家が農家であり、農業・農村を守りたいとの強い想いを持った父・雅夫さんの姿を見て育ち、自分も農業の道を歩もうと決意し、24歳の時に農業経営を始めた。

 株式会社エチエ農産は、地区内外約23haの圃場で水稲を作付けし、稲作作業受託も多く請け負う。また、ミニライスセンターも整備し、乾燥・調整・精米・出荷まで一貫した米作りを確立。さらに国営農地など約7haで里いもや玉ねぎ、聖護院大根などの野菜も生産する京丹後市でも屈指の担い手農家であり、女布地区の農地の半分程度の面積で営農している。

 女布地区は「権現山(ごんげんさん)」の麓に広がる扇状地で、山から湧き出る清らかな水がお米を美味しくすると言われている。

 

写真左から、妻・絵梨さん、昭公さん、父・雅夫さん、母・敏江さん。数人の従業員とともに、チームワークを大切にしている

写真左から、妻・絵梨さん、昭公さん、父・雅夫さん、母・敏江さん。数人の従業員とともに、チームワークを大切にしている

 コウノトリも飛来する環境に優しいほ場で、本物の食材をつくる農業を目指す

 そんな地域で、「環境に優しく、より安心・安全な本物の食材をつくる農業を目指す」をスローガンとして掲げ、環境に優しい農業を推進する「エコファーマー」や有機JAS規格の認定も取得し、農薬や化学肥料をできる限り減らして、子どもから大人まで安心して食べてもらえるような栽培方法を実践している。最近は、コウノトリも餌をついばみに度々飛来してくる。

 近年の、食の安全や健康志向な消費者ニーズに沿った栽培だからこそ苦労も絶えない。有機JAS、減農薬栽培、有機栽培では除草剤などを全く使わなかったり極力使用しなかったりするため、当然手作業も増える。

 今年は、浮草が大量に発生しており、水面にネットを浮かせ、2人がかりで引っ張って除去作業を行う。浮草を手に取ってみると、苔のような感触で、水を含んでずっしり重い。「こればっかりは機械化で処理できん。体力勝負ですわ」と困った様子だった。

 

ホバークラフトを使って除草剤散布を行う昭公さん。省力化も農業の重要なポイント

ホバークラフトを使って除草剤散布を行う昭公さん。省力化も農業の重要なポイント

 「おおきに!」食べていただける消費者や農作物を育む大地に感謝

 株式会社エチエ農産が作っているのは「おおきに大地米」とネーミングしたご当地米。買っていただいて「おおきに!」、食べていただいて「おおきに!」、そして美味しいお米に育ててくれた大地に「おおきに!」との想いを込めて名付けた。コシヒカリの特別栽培米で甘みや粘り気があると好評だ。

 しかし、近年は、獣の被害が増え続けていて、電気柵の見回りや草刈り作業に追われる日々が続く。また、猛暑が続くと水中ポンプを使って田んぼに水を張るなど、日々苦労が絶えない様子だが、そうやって手間暇かけてようやくでき上がるお米だからこそ、「愛着もあり、美味しいと言ってもらえることが何より嬉しい」と昭公さんは笑った。

 株式会社エチエ農産が作った特別栽培米は、京都銘菓生八つ橋「おたべ」にも使われている。「粘り気があり美味しい。おたべの生地にマッチする」と好評だ。また、味噌に使われる加工用米も多く作っている。

 近年は食生活の変化によって米離れが進んでいると言われているが、「ご飯としてだけではなく、様々な形で、様々な人に食べていただけるよう販路拡大・消費拡大を図り、より安心・安全で美味しいお米を日本中に広め、リピーターを増やしていきたい」と消費者目線の未来へ続く農業にまい進している。

 

8基の乾燥機が設置されたミニライスセンター。繁忙期にはフル稼働して1日約3ha分の米処理を行う

8基の乾燥機が設置されたミニライスセンター。繁忙期にはフル稼働して1日約3ha分の米処理を行う

 

(気張るファーマー通信編集部 志村)

取材日:令和2年6月3日

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更新日:2020年06月15日