網野町郷の気張るファーマー(きょうたんご米気張るファーマー通信 Vol.5)

Vol.5 引野 禎人(網野町郷)

 農業を始めたきっかけ

 今回取材をしたのは網野町郷(ごう)地区でお米を作っている引野 禎人(ひきの よしひと)さん(53)です。

 今では約8haの農地を経営している引野さんですが、初めから専業農家というわけではありません。農業に専念するきっかけとなったのは、自身のけが等によって、今まで勤めていた仕事を続けることが困難になったことでした。農業に関しては、それまでも父の手伝いをしていたため、知識や経験がゼロではありませんでしたが、農業に関して不安な部分もあったといいます。

 その不安な部分の解消となったのは、専業農家となって1年が経つ頃に、「丹後農業実践型学舎(※1)(以下「学舎」)」の話が舞い込んできたことでした。

 学舎の1期生として、10人の同期生と共に農業を学んだことについて、引野さんは、「学舎入学時には、すでに多くの農地を経営していたので、全ての授業に参加できたわけではなかったが、学舎で学んだことは今の農業にもちろん活きているし、学舎での繋がりは今でも続いており、いい経験だった」と語っています。

 

購入してから4年が経つ田植機は、いつも綺麗に整備されています購入してから4年が経つ田植機は、いつも綺麗に整備されています

 

 郷のこめ研究会の発足

 学舎を卒業後、引野さんは個人的に稲作に工夫を凝らしていましたが、「もっとこだわったお米を作ってみたい」と、地域で特に稲作に情熱のあった農家8人で「郷のこめ研究会」を立ち上げました。

 郷のこめ研究会では、農業に関する情報交換や、有名な米どころの米農家との意見交換などの活動をしています。米農家の独自の工夫は専売特許のようなものなので中々教えてもらえませんでしたが、何度も現地に足を運び、農家との関係を深めることで、一歩踏み込んだ技術を教えてもらえたこともありました。

 そして、郷のこめ研究会の活動を通じて学んだ知識や経験をもとに、引野さんは米作りに磨きをかけ、「京のプレミアム米」コンテスト(令和元年度)の入賞に至りました。

 

郷のこめ研究会のオリジナルTシャツ。ステッカーもあります

郷のこめ研究会のオリジナルTシャツ。ステッカーもあります

 

 将来の米作りについて

 引野さんがもっと美味しいお米を作ろうとするのには、二つの理由があります。

 まず一つ目は、「京のプレミアム米」コンテスト(令和元年度)で入賞したお米を地元の方に食べてもらったところ、「普段食べているお米よりも米の粒が大きくて、美味しかった」と感想をもらい、それが励みとなり、今年はもっとおいしいお米を作ろうと思ったことです。

 もう一つは「京のプレミアム米」コンテストのリベンジです。「去年は入賞だったが、次はもっと上の賞を獲れるように頑張りたい。米作りでチャレンジしたいことがまだまだ沢山ある」といいます。

 最後に、今後の郷地区での農業について、「昔から、郷地区は隣の切畑地区からの冷たい水と、朝夕の寒暖差があるため美味しいお米のできる場所だが、それを支えてきた農家も高齢化により年々離農をしている。そのため、自身が元気なうちは農地を引き受け、郷のこめ研究会のメンバーと一緒に郷地区を守っていきたい」と語りました。

 

鉄道の車窓にも引野さんが手入れした田んぼが広がります

鉄道の車窓にも引野さんが手入れした田んぼが広がります

 

【脚注】

※1 「丹後農業実践型学舎」では平成25年(1期生)から令和2年3月末(6期生)まで計34名が基礎農業や経営について学びました。なお、令和元年度をもちまして、「丹後農業実践型学舎」は終了しました。

 

(気張るファーマー通信編集部 尾崎)

取材日:令和2年6月2日

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更新日:2020年06月23日