峰山町鱒留の気張るファーマー(きょうたんご米気張るファーマー通信 Vol.14)

Vol.14 中村 浩典(峰山町鱒留)

 鱒留地域の稲作を守る

 今回の気張るファーマーは、峰山町鱒留地域の中村浩典さんだ。お米の共励会でも優秀な成績をおさめ、他府県でも「おいしいお米」と評価されている中村さんはどのようなお米作りをされているのか。

 中村さんは京丹後市峰山町鱒留地域で水稲を約14ha栽培している。父の啓次郎さんがお米を作っていたこともあり、幼い頃からお手伝いでお米に触れ、一度は働きに出たものの現在は実家へ戻り、主に父と2人で作業を行う。

 ズバリ、おいしいお米作りのこだわりを聞くと、「特に人と比べて特別なことをしているわけではない。何よりも、鱒留の土地、水のおかげだ」と話す。人による管理も大事だが、自然の力は人がどうこうできるものではない。自然の恵みに感謝し、この鱒留地域と稲作を大切に守っていきたいとの想いが伝わる。

 

お米を作っている稲作

磯砂(いさなご)山のふもとに位置する自然豊かな土地、鱒留地域。古くから「水が良い」といわれているそうだ

 数々の困難が立ちはだかる

 しかし、いい話ばかりではない。稲作を続け、地域を守っていくには多くの課題が山積みであった。鱒留地域は、田1枚の面積が小さく作業の効率が悪い。高齢化や、若者の流出で担い手や後継者がいない。営農組織やみんなで共有できる作業場などがなく、協力してお米づくりをする体制が取れない…。

 ゆくゆくは鱒留地域のブランド米を地域の方々と一緒に作っていきたいという熱い想いがあるものの、人手と場所を確保できないことが最大の障壁となっている。「まずは一緒にお米を作ってくれる人を探すところからだね」と、長年悩まれている苦労がうかがえた。

 

米を刈る様子

取材中のおだやかな雰囲気とは打って変わって、真剣な眼差しで稲刈りが進んでいく

 まだあきらめるには早い!

 弱音ばかり吐いてはいられない。鱒留地域と稲作を守っていくために、中村さん親子が常に心がけていることがある。それはスマート農業(※1)の積極的な導入である。中村さん親子は直進アシスト機能付きの田植機(自動で肥料の量を調整できるタイプ)や、肥料・農薬を散布するためのドローンなど、話題の最新技術は積極的に導入している。

 次世代の担い手を確保できるまでに、地域の存続が危うくなるという事態を避けるべく、常に機械を最新のものに更新し、まずは地域の稲作を守っていく。同時に人手の確保にも取組み、鱒留地域ブランド米の確立を目指し、これからも「気張るファーマー」としてお米づくりに励んでいく。

 

作ったお米を持つ中村さん

「お米を一緒に作ってくれる人がいてくれたら…」。取材中何度も耳にした言葉だ。仲間と協力してお米を作りたいという中村さんの願いがひしひしと伝わってきた

 

【用語解説】

※1:スマート農業とは、人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)を組み合わせ、農作業の自動化やデータの集積・分析などを通して生産者の負担を軽減する省力化技術のことで、最近注目を集めている。

 

(気張るファーマー通信編集部 斉藤(京都府丹後農業改良普及センター))

取材日:令和2年10月23日

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更新日:2020年12月07日