丹後町岩木の気張るファーマー(きょうたんご米気張るファーマー通信 Vol.15)

Vol.15 株式会社丹後岩木ファーム(丹後町岩木)

 地域最大の担い手

 今回の気張るファーマーは丹後町岩木地区の株式会社丹後岩木ファーム(以下、「岩木ファーム」)。集落営農の中心であり、さまざまなチャレンジをされている岩木ファームの代表取締役の岡田美晴(おかだ よしはる)さんに話を伺った。

 もともと岩木地区には岩木営農組合という組織があり、平成18年に法人化へと動き出した。法人化の話を進めていく中で、会社の経営をしっかりと確立させ、営利を追求することが集落営農を存続させることにつながると考え、経営に対する責任や意思決定の速さを重視し、岩木営農組合を存続する一方で、新たな担い手になる株式会社として法人化することとなった。そして、岩木営農組合の中の4人の有志が中心となって、平成20年3月に「株式会社丹後岩木ファーム」が設立した。

 設立後は集落営農をする上で田んぼを守ることが必須と考え、米を主軸にしながら、営利を追求するという点で利益率の高いハウス35棟での水菜栽培から経営をスタートした。地域最大の担い手として、現在水稲7ha、水菜1ha、そば2haを耕作し、作業受託も請け負っている。

 

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お米の精米作業 

 米焼酎「水魚乃交」の誕生 

 岩木ファームの人気商品である「水魚乃交」。この商品の誕生のきっかけは、平成15年に岩木営農組合の中で「岩木地区で作っているコシヒカリを使って、自分たちの晩酌用のお酒を作ったら面白いんじゃないか」という声によるものであった。通常は酒造りに適したお米を使用するところを、主食用米である「コシヒカリ」を使って酒造りを試みることに他の組合員たちも賛同し、岩木地区のお米を使った酒造りが動き出した。

 しかし、作ってもらえる酒蔵が見つからず、簡単に話は進まなかったが、京丹後市外にあるこの取り組みをおもしろいと考えた酒蔵と出会い、ついに岩木地区のコシヒカリで作った焼酎が完成した。最初は売り物ではなく組合員の晩酌用と考えていたお酒が周りの人たちの口コミで少しずつ評判が広がり、平成23年には商品として販売することとなった。

 そしてさらに販売に力を入れていき、平成28年にはコンサルタントを活用し、東京オリンピックに向けて外国の人にも買ってもらえるように名前を変更し、パッケージも一新した。

 そして誕生したのが、米焼酎「水魚乃交」である。現在の販売先は、地元のみならず、都市部の高級百貨店やホテル、専門店にも広がっている。

 「水魚乃交」は岩木地区で作ったおいしいお米をおいしいお酒にするという斬新な発想と、それに賛同した酒蔵の協力、より売れる商品にするという経営努力などによって完成された商品だ。

 

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 岩木ファーム自慢の「水魚乃交」

 左:水魚乃交原酒 右:水魚乃交25度(2018年ロンドン酒チャレンジ金賞受賞)

 覚悟をもって農業を 

 農業というと生産の部分に目が行きがちだが、岡田さんは「農業はいいものを作ることももちろん重要だが、販売も重要であり、商品を販売しないと収入にならない。それをしていくには、農業をやっていくという覚悟が必要」と話す。

 その言葉通り、岩木ファームでは丹後で主流のコシヒカリではなく、関東方面からの需要が多くあるミルキークイーンという品種を多く作り、ニーズに合わせた栽培を行い、また化学農薬などを減らした特別栽培米の栽培や精米の加工を行うなど付加価値をつけて販売をしている。

 このように、会社の代表として販売戦略を立て、会社を継続させていくという強い覚悟を持っているからこその言葉だろう。

 また、岩木ファームは新規就農者には生産に力を入れてもらいたいと考え、新規就農者が作ったお米を買い取り、それを販売することで新たな担い手の育成にも貢献している。

 「次の世代に道筋は示せた。会社にも覚悟を持った次の世代がいるし、地域にもいる。次の世代につなげることで、20年後30年後の岩木地区の農業は守られていく」と語った岡田さんの覚悟は、岩木地区の将来へとつながっていく。

 

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「水魚乃交」を手にもつ代表の岡田美晴さん

 

(気張るファーマー通信編集部 山崎)

取材日:令和2年12月4日

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更新日:2021年01月12日