弥栄町黒部の気張るファーマー(きょうたんご米気張るファーマー通信 Vol.18)

Vol.18 今井 一、拓法(弥栄町黒部)

 就農のきっかけ

 京丹後市弥栄町黒部は竹野川沿いの約77haの広大な田んぼが広がる地域だ。

 その自然豊かな環境で米作りに取り組んでいる今井一(はじめ)さん、拓法(たくのり)さん親子を取材した。

(一さん)

 (取材当時)63歳の一さんはもともと旧弥栄町のJAに勤務していたが、31歳の時、先代が規模縮小を考え始めたのがきっかけで、自分ならこんな農業をしてみたいという思いが膨らみ、両親を手伝うところからスタートした。

 以来、この黒部の地で32年間米づくりを続けている。就農当時は約5haの面積だったが、現在では約15haを耕作するまでに規模拡大が進んでいる。

(拓法さん)

  大阪で就職していたが、27歳の時に丹後へ帰郷。以来4年間農業に従事している。

 地域には同年代の農業者もいるが、多くは国営農地で畑作をしており、水田での若い農業者は少ないため、若手農業者としての期待が高まる。

 現在は、父の一さんとは住居も生計も別で、父に雇用されている形態であるが、今後父から経営を委譲された場合は、反対に父を雇用する形態になるという。

 そうした背景には、「私たちは“農家”ではなく、“農業者”である」という一さんの考えがあり、家族労働で行ういわゆる農家ではなく、ビジネスとして農業を捉え、収入と経費の採算をしっかり把握し、経営感覚をしっかり持つことが重要であるという理念がある。

 

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京丹後市弥栄町黒部の圃場にて(右:一さん(父)、左:拓法さん(子))

 米づくりへの思い~将来に向けて~

 現在は約15haの農地を耕作しており、一部は特別栽培米(京都府の基準よりも肥料・農薬ともに5割以上低減して栽培するお米)の作付けを行っている。

  消費者に人気がある“有機米”を作ることは検討しているが、約15haの全量を有機米にしてしまうと採算が取れない。今後、拓法さんへ経営を委譲したら、一さんは、肥料にはなたね油かすのみを使用してつくる有機米を作ってみたいと語る。

 今後2~3年で拓法さんへの経営委譲を考えているという一さんだが、一方では、経営を法人化できないかも検討している。

 昨今の国や府の補助事業も経営規模を拡大することや、売上額を1億円まで伸ばす計画が立てられないと補助事業を活用できないことが多く、そうなると、法人を設立して、従業員を雇用し、経営面積の拡大や機械・倉庫等の設備投資を行うこととなる。

 大変大きな決断になるため、よく考えて進めたいと語る。

 

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機械等も含めて、経営方法を模索する

 地域で農業を行うということ

 弥栄町黒部地域では農事組合組織があり、経営は各戸ごとに独立しているが、水路の清掃・管理、草刈り作業等の一部は共同で行っている。

 「水田は一戸単位でできるものではなく、地域の農業者が足並みをそろえて水路の管理や草刈り等に協力しなければいけない。水は高い場所にある圃場から順番に低い場所にある圃場へ流れるので、自分たちの耕作面積がどれだけ増えても管理をしっかりし、他の農業者の迷惑になってはいけない」と一さんは語る。

 同じ地域内には兼業農家等で経営規模が小さい農業者もいるが、自分たちの面積が大きいからといって偉ぶってはいけないということを戒めていた。

 

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コンバインを操縦する拓法さん

 

(気張るファーマー通信編集部 古橋)

取材日:令和2年9月29日

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更新日:2021年02月08日