第四回 日本の絹織物を支える若き縁の下の力持ち

丹後織物工業組合

中央加工場精練部 垣中 和男(かきなか かずお)さん(34歳)

総務部総務一課 藤原 優也(ふじわら まさや)さん(24歳)

 ※年齢及び所属は「広報京丹後」2019年7月号掲載時点

 

丹後地方は、現在でも国内の和装用生地の6割以上を生産するといわれる絹織物産地です。

大宮町にある丹後織物工業組合は、国内最大の絹織物の精練加工場として重要な役割を担っています。

また、近年、若い人を積極的に採用し、人材育成にも力を入れておられます。

同組合精練部に勤務して4年目を迎える垣中和男さんと、総務部総務一課に勤務して2年目を迎える藤原優也さんに、仕事に対する思いや今後の目標をお伺いしました。

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中央加工場内で精練作業をする垣中さん

「精練には多くの工程があります。

それぞれの工程の担当者が協力し合って連携を図らなければ良い仕事ができません。

高温の工場内での作業は大変ですが、チームワークで作業をやり遂げるのは楽しいです」と話す垣中さん。

今では、工場内で2人しか行うことのできない釜割りという最も重要で難しい工程も任されている。

 

 

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仕事に対する思いを語る垣中さん

釜割りでは、何百種類もの織物を、効率よく作業できるように、織物の種類や糸の状態から最適な精練の時間を決めて分類するが、同じ織物でも日によって状態が違うため、その場で判断し、工程を覚えて作業を指示しなければならない。


「失敗が許されないので、毎日緊張の連続ですが、機屋さんの注文通りに仕上がると、今日もいいものができたと達成感があります。

 

今はまだまだ覚えることがたくさんありますが、職場で目標としている方に追い付け、追い越せという思いで日々勉強しています。

 

また、出荷された丹後ちりめんがどのような商品になっているかとても興味があります。今後はそちらにも目を向けていきたいですね」と垣中さんは語る。

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中央加工場内の「丹後織物オープンギャラリー」にて白生地を手に取る藤原
さん


藤原さんは、就職活動中に、地元である丹後と改めて向き合い、今まで関わったことのなかった丹後ちりめんに興味を持ち、丹後ちりめんで地元を盛り上げることができる仕事に就きたいと思い入社を決めた。

 

地域外での展示会や地域内での催事に関わる業務のほか、昨年6月からは、丹後ちりめん創業300年事業実行委員会の専任事務局として、
実行委員会が取り組んでいるさまざまな事業の取りまとめや会計管理、広報活動、SNSでの情報発信などにも力を入れている。

 

「国内外で活躍されているデザイナーやクリエイターが来丹し、実際に丹後の織物に触れて感動されているところを見ると、自分もこんな素晴らしいものに関わっているんだと誇りに感じています」と藤原さん。

 

「丹後ちりめんの生産量は昭和48年のピーク以来、減少を続けていますが、地域外や海外とも交流する中でまだまだたくさんのチャンスがあると感じています。

日々の仕事はひとつひとつ地道なものですが、地元の皆さんとも手を取り合い、ハートフルな工業組合を目指したいです」と語る。

【用語紹介】

【精練(せいれん)】


絹糸を製織してできた布に付着しているセリシンを洗い流し、絹本来の白く柔らかなちりめんに仕上げていく工程。

「粗練り」「本練り」「漂白」「仕上」げがある。

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更新日:2020年08月18日