第五回 花嫁をより美しく ―若手社員の挑戦―

株式会社二条丸八 丹後織物研究所

織職人 中出 彩花(なかで あやか)さん(23歳)

デザイン担当 森山 怜子(もりやま れいこ)さん(29歳)

 ※年齢及び所属は「広報京丹後」2019年8月号掲載時点

 

色鮮やかな婚礼衣裳を数多く手掛ける株式会社二条丸八。

本社は木津川市にあり、クリーニング・メンテナンス事業なども行う。

婚礼衣裳の制作は複数の事業所で分業することが多いが、

大宮町にある丹後織物研究所は、自社でデザインから製織まで一貫生産を行う

全国でも数少ない工場です。自社で開発したシステムを使い、紋紙データを一から制作。

20代、30代の若い社員を育成し、技術の伝承と発展に取り組んでいます。

入社5年目の中出さんと森山さんにお話を伺いました。

 

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「善王寺織」について話す中出さんと森山さん

ものづくりが好きで、就職活動中にこの研究所で伝統的な技術を見学した中出さんは、自分も織れたらすごいと思い入社した。

「織物によってさまざまな技術が要求されるので、とても神経を使います。うまくできないときはつらいこともありますが、柄ができてくるととても楽しいです。一反織り上がると達成感があります」と語る。

今では管巻きから製織、検品までを任されるまでになった。「今の目標は、織機の構造を勉強して、機直しができるようになりたいです。

また、将来お嫁に行くときは、自分で織り上げた白無垢を着たいです」と少し照れながら話す。

 

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織機で色打掛を織る中出さん

所長の右腕として将来が期待される森山さん。

研究所独自の図案の制作や、織物のさまざまな知識を習得するために日々勉強中だ。

「大学で日本画を専攻しており、和装の婚礼衣裳を作る上で学んだことが生かせると思い入社しましたが、現実は織物の世界は想像していたものと全く違っていてゼロからのスタートでした。デザインとはいえ、織物の工程や織機のことを理解しなければなりません。時々失敗もありますが、やりがいを感じながら楽しくやっています」と笑顔で話す。

 

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パソコンで婚礼衣裳の図案を制作する森山さん

入社2年目に同期5人で、あるプロジェクトに取り組んだ。

「ここでしかできない織物」をテーマに試行錯誤を続けながら、ボリューム感と軽さを徹底的に追求した白無垢「善王寺織(ぜんのうじおり)」を完成させた。

「好評をいただいており、一番のヒット商品となりました。どんどんお客様の手元にお届けできてとても嬉しいです」と森山さん。

また、異業種や学生との共同事業も積極的に進めており、織物を素材に使った照明器具や和装小物を開発。

今期も若手社員でデザインしたポーチの制作に取り組んでいる。


「ものを作るだけでなく、市場に乗せ販売しなくてはなりません。なかなか難しい試みで、未知の世界に戸惑いますが、自分たちの手で世に求められるものづくりをしたいです」と目標を語る。

今までにないプロジェクトに彼女たちの挑戦は続く。

 

【用語紹介】

【善王寺織】

刺繍が施されているかのように柄が立体的に浮かび上がって見える特徴的な織物。

研究所のある地名をとって名付けられた。

 

【紋紙(もんがみ)】

厚紙に開けられた穴の有無で織物の情報(図柄など)を織機へ伝えるもの。

これにより、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を操作してさまざまな模様が織り上げられる。

現在では、厚紙からフロッピーディスクやUSBメモリに置き換わってきている。

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更新日:2020年08月18日