6月20日 田の水はけをよくする溝切り作業

 

寒暖の差が大きい日が続いています。なかなか梅雨はやってこないようです。

先日は田んぼに藻が大量発生していましたが、そのせいか、苗が光合成できずに育ちが悪くなっている箇所が一部ありました。

しかし、すくすくと苗が育っている箇所も、もちろんあります。その苗たちがしっかり根を張り、さらに大きく育つように、6月中旬から7月頭にかけて、田んぼでは「溝切り」と「中干し」という作業を行います。6月14日付更新の「稲作ブログ出前講座」でも説明されていた、重要な作業です。

この作業を行う理由は、同記事をご覧いただければと思いますが、今回は実際に溝切り作業の取材をしました。

 

溝切りは、溝切り機という自転車に似た機械を使って行います。

 

溝切り機

 

機械の前方にはエンジンがついており、その動力を利用し田んぼの中を進みながら、後方についている溝切り部で溝を切っていきます。

前の方が重くなっているので、進むときや持ち上げる時のバランスが取りづらいです。

一般的な刈払機よりも強力なエンジンがついているため、エンジン音と振動が大きい機械ですが、農家さんは田んぼのなかを歩くようにすいすいと溝を掘っていき、気づけばあっという間に遠くの方へ…。

 

溝切り2

 

きれいな、まっすぐな溝です。溝を切ったそばから、水が流れていくのが分かります。

 

水をたっぷり含んだやわらかい土なのに、しっかり溝ができるんだなぁと溝を見つめていると、「ほんなら、溝切り体験してみるか。」と声をかけていただいたので、体験をさせていただきました。

溝切り機に乗り一歩進もうとしますが、田んぼに足が埋まりそうになり、なかなか進めません。

「ふんごんだら、あかんど。足で進むんじゃなくて機械の動力を利用して進むから、横にこけないようにするために足は軽く支える程度だで。」(※「ふんごむ」とは、丹後弁で「ぬかるみなどの中に足を踏み込むこと」を言います。)

アドバイスを受けながら、低速走行で溝切りをしていきます。まっすぐに進まなければならないうえに、足元に生えている苗を踏まないように気をつけないといけないため、足元から目が離せません。

 

溝切り3

 

溝切りの間隔は8~10条(苗の列数)に対して溝が1本であることが多いそうですが、圃場の状況によっては間隔を変える場合もあります。溝切りの時期に水がたくさん溜まっている時は、排水を良くするために間隔を狭めることもあるようです。

 

縦に数本、横は田んぼの端に1本~2本の溝が切れたら、水が流れやすいように、溝が交わっている部分を手作業で整えます。

溝の深さを均等にしないと水がスムーズに流れないため、深くまで掘り、角の部分は手でしっかり固めます。

 

 

すべての溝を田んぼの排水口まで繋げれば、その田んぼの溝切りは終了です。この溝を利用して田の入排水を行い、稲をよい環境で育てるとともに、土を固めていきます。

今後も何度か水を張って水を落とすという作業を繰り返し、さらに土を固めていきますが、一度切った溝は稲刈り時期まで残っているため、繰り返し水を張っても、水が行きわたりやすく排水もしやすい状況が保たれます。

そして、収穫時期にコンバインが入るころには、靴で踏んだら軽く足跡がつく程度の固さになります。今回、田んぼにふんごんで、こけそうになっていたとは考えられないほど、土が固まる日を心待ちにしています。

 

(松本 農業振興課1年目)

更新日:2019年06月21日