8月5日 (稲作ブログ出前講座)夏の暑さとお米について

 

梅雨も明け、いよいよ夏本番。暑くなってきましたね。

みなさま、熱中症にはくれぐれもご注意くださいませ。

 

さて、前回の記事で京丹後でも「穂」が出たとお伝えしました。

稲穂

 

 

これからどんどん穂が実って行く時期ですが、日中は特に、人もへばるような暑さですよね…

お米達は平気なのでしょうか?

 


実は、あまりに暑いとお米もへばってしまいます。

少し専門的に言うと、「白未熟粒」という白く濁った状態のお米になり、品質が低下してしまうことがあります。

白未熟粒になる原因として、お米に含まれる「デンプン」が関係していると言われています。

 


デンプンとは、お米の主成分です。(小中学校の理科で、お米にヨウ素液をかけると、お米のデンプンに反応して紫色に変色するという実験をされた方も多いのではないでしょうか?)
玄米の状態では実に、約70%もデンプンが含まれています。

 

デンプン

 

デンプンは、イネが実っていく過程でモミの中に蓄積されていきます。また、イネの体を維持するためにも使われます。

気温が高くなりすぎると、イネもしんどくなってより多くのデンプンを消費して体を維持しようとします。

つまり、高温の日が続くと、多くのデンプンが体を維持するために消費されて、モミに蓄積できなくなってしまいます。

このように、デンプンのモミへの蓄積が不十分になったとき、デンプンが詰まりきっていない部分が白く不透明となり、「白未熟粒」となるのです。

 

玄米

完全米(左3列) と 白未熟米(右3列) および、その断面
白未熟米の内部が白くなっていることがわかります。


白未熟粒は、外観の品質が悪いだけでなく、食感・味も低下してしまいます。

ではどのようにして夏の高温対策をしていくのでしょうか?

 

…お米も人と同じで、水をかけてあげると涼しくなります。前回の記事で延利農産グループさんでは、水の掛け流しを行うと書いてありましたが、実は高温による品質の低下を防ぐための重要な作業だったんですね。

お米も人と同じで生きています。お米を元気に育てるために、農家の皆さんは手間暇かけてさまざまな工夫を施して栽培されています。特に丹後の農家さんたちは、気持ちを込めて丁寧にお米を作っておられます。ぜひ、農家さんが大切に育てた丹後産のお米を、食べてみてください。

 

 

(斉藤 京都府丹後農業改良普及センター1年目)

更新日:2019年08月06日