12月9日 (稲作ブログ出前講座)冬の田んぼに水!?
雪が降ったり急に天気が荒れたりと、丹後もすっかり冬の気候になりましたね。
体調を崩しやすい季節ですので、みなさんもお気をつけくださいね。
さて、お米の収穫も終わり、米農家さんはようやく一段落といったところでしょうか。
今年も農家さんの頑張りが実を結び、おいしい新米がたくさん店頭に並んでいますね。
みなさんは京丹後産の新米、もう食べられましたか?
そのおいしいお米を育てた田んぼも今はお休みの期間…
と思ったら、水が張ってある!!そう思った方、いらっしゃいませんか?
よく注意すると、ちらほら水が張ってある田んぼを見かけるかと思います。
これは何をしているのでしょうか?なぜ、お米を育てていないこの時期に水を張っているのでしょうか?
実は、きちんと意味があるんです。
冬の時期に田んぼに水を張ることを、「冬期湛水(とうきたんすい)」といいます。
湛水とは、読んで字のごとく、水を湛(たた)えることです。
では、冬期湛水にはどのような効果があるのでしょうか?
多くの研究者によっていろいろな効果が報告されていますが、大きく分けると2つ。
栽培面での効果と、環境保全面での効果です。
まずは栽培面について。
水を張っていると、湿地を好む微生物やイトミミズが増殖します。それらの働きで、田んぼの土表面がトロットロの泥状に変化します(これをトロトロ層といいます)。
このトロトロ層の中では雑草の種子は酸欠になり、芽を出すことができなくなるので、雑草の発生を抑えることができます。
他にも、収穫後に残った稲わらの分解を促進したり、ある種の病気の発生を抑制するという効果が報告されています。
次に環境保全面について。
水を張っていると、白鳥や鴨などの渡り鳥がえさを求めてやってくるようになります。
殺風景な田んぼが一気に見栄え良くなりますよね。
また、その渡り鳥の糞が田んぼの土を肥やし、翌年の栽培に効果があるとの報告もされています。
その他にも、近年、水路がコンクリート化され生活範囲が狭められているアカガエルなどの生き物たちが、生きていける場所の提供にもなります。
以上のように、冬の田んぼに水を張ることは、栽培の観点、環境保全の観点から見てもたくさんのメリットがあるといえるでしょう。
収穫が終わり、一段落の米農家さんも来年に向けて田んぼに水を張ることで環境に優しい、栽培準備をされていたんですね。
来年のお米にも期待が膨らむばかりです!
12月に入り、丹後もいよいよ雪が降りました。
(斉藤 京都府丹後農業改良普及センター1年目)
更新日:2019年12月13日